先月の話ですが、村上春樹の「神の子どもたちはみな踊る」を図書館で借りて読みました。

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「地震のあとで」という総題で「新潮」に1999年に連載された5本+1本の短編集です。

私が読みたかったのは、そのうちの1遍「かえるくん、東京を救う」です。

新海誠監督のインタビュー番組で映画「すずめの戸締まり」との関係を知って(映画は見ていないのですが)、かえるくんがどうやって東京を救ったのか知りたいと思ったのがきっかけです。

ところが最初、短編とは知らずに「かえるくん、東京を救う」で検索/予約して借りてきた本は、『村上春樹「かえるくん、東京を救う」英訳完全読解』で、文章が英語の解説で細切れになっているので途中で断念。

それでも、おもしろそうだったので、やっぱり読みたいと思い調べて「神の子どもたちはみな踊る」という短編集の中に入っているとわかり、無事読むことができました。

もともと「地震のあとで」という総題で連載されたとおり、6篇とも作中人物の一人が阪神淡路大震災と何らかのかかわりがあるという共通点がありました。

そして「神の子どもたちはみな踊る」という題の1編には宗教2世が出てきます。

今読むと、まず旧統一教会のことが頭をよぎりますが、阪神淡路大震災が起きたのは1995年1月17日。そのあと3月に地下鉄サリン事件が起きたとたん、新聞の1面報道が地震からオウム真理教に見事にとって代わられたことを思い出しました。

父親と断絶している物書きという人物も出てきて、「猫を棄てる 父親について語るとき」を読んだばかりだったので、村上春樹さんご自身のことが下地になっているのかなと思いました。

6編の中では「かえるくん、東京を救う」が1番印象に残りました。

内容はともあれ、さすが村上さん。表現力は衰えを知らず、読んでいるのに動画を見ているみたいでした。